最近のニュースの中に「ファストフィッシュ販売好調」というものがありました。
「へ?何、ファストフィッシュって?」と思われた方は、私だけではないと思いますが、
ニュース記事を読み、少し調べて行くと・・・「ちょ、ちょっと待ってよ!」と、思わず
叫びたくなる気分にさせられてしまいました。
まだ『ファストフィッシュ』をご存じでない方のために、少し紹介します。
ことの発端は、日本人の魚離れにあるようです。その筋からの圧力があったのか
どうかはわかりませんが、水産庁などは、何とか魚を食べてもらうようにしたいと
考えた(?)ようです。
ただ、これもどこから情報を得たのかは知れませんが、「魚は食べるのが面倒」
「どう調理していいのかわからない」などの声が、特に“若い人たち”からあったとの
ことで、ではどうしたら良いのだろうかと、これも考えた(?)ようです。
そこで、「だったら、骨などは先に取ってあげて、何もしなくても調理できるように
したら売れるのでは?」との結論に達し、そのまま(フライパンなどで)焼くだけで
OK!ワタや骨が取り除いてあるだけでなく、ご丁寧に味付けまでしてあって、
すぐに食べられる『ファストフィッシュ』の商品化につながったというわけです。
まず、私が引っかかったのはそのネーミングです。もちろんこれは、誰もがわかる
ように「ファストフード」から来ているのでしょうが、ちゃんと「食」に向き合っていこう
と考えている人にとっては、魚の骨がのどに引っかかった時のような、少し嫌~な
気分にさせられます。(ネーミングについては後日また述べます)
でもまだこれは、ほんの入口のお話で・・・続いて、ビックリさせられたのは、一部
商品のパッケージでした。その商品とは「骨取りさんま」という、ネーミング的には
ごく普通のものですが、パッケージを見ると、コミックのイケメン主人公が、なんと
こちらを向いて微笑んでいるのです!これを見た時、私は(某著名料理レポーター
氏の言葉をお借りし)「これはまるでオカズ業界の“痛車”や~!」と思ってしまった
ほどなのです。
そのイケメン主人公とは、東北のとある鉄道会社のキャラクターということで、
やはり東北地方のとある漁協と、全国で1~2を争うスーパーチェーンとの3者に
よるコラボ商品であることはわかりますが、「何を考えているかわからない!」
のではなく、「何を考えているかわかって」しまい、「でもちゃんとは考えていない」
ことに一抹の不安を感じるのです。「復興」はもちろん大切なのですが。
パッケージにイケメン主人公を採用したのは、もちろん“若い主婦”をターゲットに
してのことでしょう。そして、4尾入ということはそのファミリー構成に合うようにし、
小さな子供たちが食べるのを想定してのことだと思います。が、そこに落とし穴
があるように思うのです。つまり、幼い子供たちにとって「サンマとは、そういうモノ
なのだ」「骨もワタもなく、フライパンで(油を使って)焼くモノだ」という概念が自然
に植えつけられはしないか、ということなのです。
「そこは、親がしっかり教えれば良い」という声もあるかと思いますが、これらの
『ファストフィッシュ』が便利!と思う親は、(たぶん)仕事と家事の両立に忙しく、
「そんな(教えるような)時間があるのなら、普通のサンマを買って焼きます」と
かえって怒られそうな気がします。で、その結果子供たちは・・・。
十年ほど前になるかと思いますが、「骨なし魚」を学校給食で出すことが適当か
どうか、議論になったことがあります。その後、給食での扱いがどうなったのか
わかりませんが、その時も「魚とはそういうものだ」と子供たちが思ってしまうこと
を懸念する声がありました。
「目黒のさんま」という有名な落語は皆さんご存知でしょうが、ジュージューと
直火で焼かれたさんまに醤油をぶっかけて、小骨などは気にせずにハフハフと
頬ばる・・・「これはサンマではない!」とお城で出されたモノに失望した殿様の、
逆のパターンの声が、このままいくと子供たちの中から聞こえてきそうな気が、
するのです。
(このテーマについては、近々続きを投稿する予定です)
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