今回ご紹介する、ラジオ番組「若山博士の食の情報最前線」アーカイブは、2012年元旦に放送された回です。ゲストに、第20代文化庁長官の近藤誠一さんを迎え、「郷土料理を食べて、老いない体を手に入れよう」をテーマに、若山博士と日本の食文化についてお話をしていただきました。
 
全国各地を飛び回る近藤さんに、郷土料理の中で印象に残っているものを聞いたところ、日本三大うどんにも数えられる、長崎県五島列島の五島うどんを使った「地獄炊き」とお答えいただきました。あご(トビウオ)だしの釜揚げうどんで、地元では定番の料理です。ちなみに、このユニークな名前の由来を調べてみると、その昔、「地獄炊き」を初めて食べた旅人が、「至極(しごく)美味しい!」と褒めたのが「地獄美味しい」と聞き間違えた…という説があります。長崎を訪れる際は、ぜひ食べてみたい一品ですね!
 
そして、郷土料理といえば、皆さんもあと数日で口にするであろうお雑煮についての話も。一言でお雑煮と言っても北海道から九州までバリエーション豊かで、なんと「お雑煮100選」という本まであるそうです。これは、文化庁主催で一般公募をし、全国から選ばれたお雑煮を紹介する本で、それぞれの地域の特性・工夫が凝らされたお雑煮を見ていると、日本文化の豊かさに驚かされます。(自分が慣れ親しんできたお雑煮は、全国共通ではないのですね…)
 
気候風土によって育つ食材、そして発酵する条件や保存方法などに違いが生じ、その土地ならではの郷土料理が生まれます。ファストフードも便利ですが、日本人が持つ季節感や精神性などを伝えていく上でも郷土料理は重要と語る近藤誠一さん。郷土料理の持つ素晴らしい文化を大切に、ぜひ子供たちや他の地域の人たちにも伝え続けていきたいですね。
 
何気なく思っていた食文化が、本当は豊かで素晴らしいということに気づかされたお話でした。
 
You Tubeでラジオ放送の内容が全編ご視聴いただけます↓
「食の情報最前線」第70回:日本の食文化を知る