ごく最近発表された「食」関連のニュースから、「?」と思ったことを今回は取り上げます。

まずは13日付の朝日新聞デジタルの記事をそのまま引用させていただきます。

「白くて臭わないたくあんが作れる大根の新品種を、農業・食品産業技術総合研究機構の

野菜茶業研究所(津市)とお茶の水女子大が開発した。最近はたくあん独特の臭いが苦手

という人も多く、こうしたニーズに応えようと研究を進めてきた。」

この記事を、そのまま受け取ることができる人は、とても心の広い方(?)だと思いますが、

私は、この短いリード文の中でも、いくつかの場所に引っ掛かり、「それ違うんじゃない!」

と思ってしまいました。たくあん好きだということもあるのですが。

まず記事中の「白くて臭わないたくあん」を、いったい人はたくあんと思うのでしょうか?

どの位漬け込むかにもよると思いますが、それでも言われなければ「かぶら漬けの1種?」

とたいていの人が思うような気がするのです。

次に、「最近はたくあん独特の臭いが苦手という人も多く、こうしたニーズに」という部分。

たくあんの臭いが嫌いな人は基本的にたくあんを食べないでしょうから、「嫌な臭いのない

たくあんを食べたい!」という人(ニーズ)がいったいどれだけいるのか、かなり疑問です。

たくあんが、例えばお隣の国のキムチのように、ご飯のときには必ずついてくる、いわば

国民食的な副菜というなら別ですが、「嫌いだ」と言うと白い目で見られるモノではないの

ですし、どうしても食べなければいけないというシチュエーションは、日常生活の中では

そうそうはないと思えるからです。

新しい品種のダイコンは、臭いの元になる辛味成分の「含有量ゼロ」にしたものということ

で、「甘いダイコンが良い」として作られたものではなさそうですが・・・

ただ、最近のダイコンは、大根おろしにしても辛いものがほどんどなく、それはそれで残念

に思います。辛みのあるダイコンは、おろして醤油をかけるだけで、充分酒の肴にも、ご飯

のおかずにもなります。

昨年末から寒さが厳しいせいか、青物系はもちろん、ダイコンなども高値が続いているよう

です。臭いの出ないダイコンの研究も、意味がないわけではないのでしょうが、それよりも

庶民がいつでも食べられるよう、安定した収穫が期待できる品種を作ってもらいたいもの

です。